動と静が命を育む
じっと春を待つリンゴたち
この地の雪は、下から降る。
岩木山から吹き下ろす強烈な寒風「岩木おろし」が、地上の雪を巻き上げるからだ。時には、目を開けてまっすぐに歩くことさえできないほどの地吹雪のなか、畑ではリンゴの樹がじっと春を待つ。
だから、この地の人々にとって、リンゴの花が咲く季節は格別だ。ほんのり紅色の花びらは秋の実りを予感させ、お山も樹も田んぼも生命の躍動感にあふれる。
津軽の冬と春は、「扇ねぷた」のようだ。
鏡絵と見送り絵のように、動と静が背中合わせになって命を育む。この地のリンゴの樹たちは、地吹雪に負けないよう、しっかり大地に根をはって、おいしいリンゴを実らせるのだ。
鶴田町みどりの会
「鶴田町みどりの会」は、20代から30代の若手農業後継者、30名ほどで組織する会である。
米、リンゴ、果物などメンバーによって手がける作物は違うが、月一回、研修会を開催し、他市町村の産地視察に出かけたり、情報交換や実習を行っている。
会員の経歴も多彩で、脱サラして家業を継いだ人、都会からUターンしてきた人などさまざま。
ただひとつ共通しているのは、このまちで農業をしながら生きていこうと決めたこと。そして、目的意識をもって取り組んでいることだ。
そのほかにも会では、毎年、学校給食用に、約40ケースの無袋ふじを無償で町に提供するなど、地域貢献活動も行っている。
「将来は、自分で値段を決めて販売できるところまでもっていきたい。お客さんから、『青森のなかでも、鶴田のリンゴは格別おいしい! リンゴを買うなら、やはり鶴田産に限る!』と言ってもらえるリンゴづくりをめざしたい」と、浅利さんは語ってくれた。
リンゴ
鶴田町のリンゴは、道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」や、各種イベントなどで買い求めることができます。
また、収穫時期には、観光りんご園でもぎ取り体験も楽しめます。
栽培面積1,014ヘクタール、生産量13,182トン、販売額263,000万円。
(「平成23年度 鶴田町果樹産地構造改革計画」より)